今回は、不倫の慰謝料をめぐり、高松高裁が元夫の請求を退けたとする判決報道を取り上げます。ニュースを見て「不倫があっても慰謝料は認められないの?」と戸惑った方もいるかもしれません。ただ、この結果を、すべての不倫問題にそのまま当てはめることはできません。大切なのは、どの時点で何が起き、どのような事情があったかです。
パートナーの裏切りを疑っているときは、「決定的な写真さえあれば解決する」と考えがちです。しかし、確認できた出来事が、今後の話し合いや法的な請求にどう関わるかは別の問題です。傷ついた気持ちを置き去りにする必要はありませんが、気持ちと事実を整理し、専門家に伝える準備をしておくことが、自分の選択を支えます。
探偵や調査に関する情報を扱う当サイトの視点から、今回の報道と、相談前に整理したい記録について考えます。以下は個別の請求の可否を判断するものではありません。ご自身の事情に関する法律判断は、弁護士へ相談してください。
KSB瀬戸内海放送によると、元夫が元妻の不貞相手とする男性に慰謝料を求めた訴訟で、最高裁から審理をやり直すよう命じられた高松高裁は、10月15日、請求を退けました。報道では、最初の不貞行為が夫婦関係の破綻後だったと判断されたとされています。これは当該訴訟の差し戻し審の判断であり、不倫に関する請求が一律に認められなくなったという意味ではありません。記事から判決の確定までは確認できません。
出典:KSB瀬戸内海放送「『不貞行為の際に夫婦関係が破綻していたのか』がポイント」(2026年10月15日18:38配信、19:50最終更新)
「不倫があったか」と「請求が認められるか」を分けて考える
今回の訴訟に先立つ最高裁の判断では、婚姻関係がすでに破綻していると信じたことに相当な理由があったかについても、検討する必要があるとされました。単に「離婚したと聞いた」という一点だけで結論を出さず、周辺の事情を踏まえて審理するという内容です。詳しくは最高裁令和8年6月5日判決(令和7年〔受〕第933号・PDF)を参照してください。
ここから一般の相談で考えたいのは、相手の説明を信じるか否かだけで話を進めず、出来事とその時期を確かめることです。「夫婦仲が悪かった」「別居していた」「離婚の話が出た」という言葉も、それだけで法的な結論が決まるわけではありません。自分で「破綻していた」「していなかった」と断定するより、実際の生活ややり取りを専門家へ伝えることが大切です。
調査で事実を確かめることと、その事実を法律上どう評価するかは、分けて相談しましょう。ニュースの結論だけで諦めたり、逆に必ず請求できると期待したりせず、自分の状況を確認することが出発点になります。
相談の前に、出来事を一本の時系列にする
何から話せばよいか分からない場合は、紙や自分用のメモに、分かる範囲で出来事を並べてみてください。正確な日付が分からなければ「何月ごろ」「この出来事より前」と書き、推測で日付を埋めないようにします。相談に持参する資料と対応する番号を付けておくと、説明しやすくなります。
- 不安を感じた出来事と、自分が実際に確認した日時
- 同居や別居など、生活の状況が変わった時期
- 夫婦関係や離婚について話した時期と、残っているやり取り
- 自分宛てに届いたメッセージや、自分が保有する関連資料
- 相談で知りたいことと、今後の生活について希望すること
「相手がそう言っていたこと」と「自分で確認できたこと」も分けておきましょう。例えば、「以前から離婚の話をしていたと言われた」という記録と、実際の話し合いを示す資料は同じではありません。どの資料に何が残っているかを、加工せず説明できる形で整理します。
メッセージは前後の流れや日時が分かる形で残し、元のデータも保管してください。都合のよい部分だけを切り取ったり、記録を作り替えたりすることは避けましょう。他人の端末やアカウントへの無断アクセス、無断での追跡、SNSでの公開を勧めるものではありません。入手方法に迷う資料は、集める前に弁護士へ確認してください。
探偵へ依頼する前に、調査の目的を明確にする
探偵への依頼を考えるなら、先に弁護士へ相談し、今ある情報のどこが足りず、何を確かめる必要があるのかを整理する方法があります。すでに確認できていることまで重ねて調べたり、必要性が分からないまま調査範囲を広げたりすることを避ける助けになります。
調査の相談では、対象や期間、方法、費用、追加料金、報告形式、調査できないことを説明してもらいましょう。写真や報告書があれば必ず希望する結果になる、という保証はできません。探偵による事実確認と、弁護士による法律上の検討をつなぎ、目的に合うかを確かめることが大切です。
「何を知りたいか」だけでなく、「その情報をどんな判断に使いたいか」を相談時に伝えてください。離婚するか、関係の修復を考えるか、まず事情を知りたいのか。現時点で決めきれないことも含めて話して構いません。感情が強く揺れるときほど、その場で相手と対決したり、契約を急いだりせず、選択肢を整理する時間を取りましょう。
今回の報道は、不倫問題では出来事の時期と事情を丁寧に確認する必要があることを考えさせます。まずは分かる事実と資料を時系列に整理し、法律上の見通しを弁護士へ相談してください。そのうえで調査が必要なら、目的と範囲、費用を確認しましょう。相談先が分からない場合は、法テラスの案内も参考になります。利用できる支援や条件は、各窓口でご確認ください。
法テラスの慰謝料に関する相談案内を見る
