行方が分からない家族を探すとき、「近くの防犯カメラに映っていないだろうか」と考える方もいると思います。共同通信は、韓国でAIを使って複数のカメラ映像を検索し、行方不明者の発見に役立てる取り組みを報じました。
映像を短時間で調べられる技術には期待がある一方、家族がすべてのカメラを自由に検索できるわけではありません。検索に使う情報をどう整理し、誰に確認を相談するかも大切になります。
今回は韓国の取材記事を紹介し、日本で家族の行方不明に気づいたときの映像相談を管理人の視点から考えます。急な行方不明では、映像探しを始める前に警察への連絡を優先してください。
共同通信の現地取材によると、ソウル市永登浦区では、不明になった場所や時刻、服の色などをもとにカメラ映像を検索しています。紹介された仕組みは、30分間の映像を最大100台分同時に調べ、所要時間は7~8分。職員による実演や、今年7月に警察と連携して高齢者を保護した事例を伝えています。今回の配信日に新たな救助があったという報道ではありません。
出典:共同通信「防カメAIで進化、7~8分で100台検索 韓国、市民意識『監視』より『安全』へ変化」(2026年10月24日8時00分配信、8時16分更新)
「最後に見た時刻・場所」を、検索できる情報にする
記事の仕組みでも、検索の出発点は服装や時間、場所です。「いつも駅に行くから、その日も駅にいたはず」という推測と、その日に実際に目撃したことは区別したいところです。確認済みの情報を一枚のメモにまとめると、警察に経緯を説明する際にも役立ちます。
- 最後に本人を見た日時と場所。誰が直接見たのか、電話やメッセージでの連絡なのかも分ける。
- 当日の上着・ズボン・靴・かばんの色や形。いつ撮影した写真かを確認し、別の日の服装を混ぜない。
- 歩いていた向き、乗り物、同行者など、確認できた範囲の移動情報。不明な部分は空欄にする。
- 周辺の店舗や建物の位置。カメラがありそうという推測と、設置を実際に確認した場所を分ける。
大阪府警も、届出に際して服装・所持品、行方不明になった日時場所、写真などを準備するよう案内しています。参考:大阪府警「行方不明者の届出に、準備するもの」。ただし、情報がすべてそろうまで連絡を待つ必要はありません。まず分かることを伝え、追加の情報が確認できたら担当者に知らせましょう。
映像の保存を相談することと、閲覧できることは別
カメラがあっても、録画の有無や残っている期間、撮影範囲までは外から判断できません。警察には、確認してほしい場所と時間帯を具体的に伝えてください。管理者へ連絡する場合も、警察に相談していることを説明し、対象の時間帯の映像が残っているか、保存について相談できるかを尋ねる形が考えられます。
ほかの人の姿も映るため、家族であれば映像一式を当然に受け取れる、とは考えないようにしましょう。管理者には管理規程や法令に沿って判断してもらい、必要に応じて警察との連絡方法を確認します。機器を勝手に操作したり、ログイン情報を求めて自分で検索したりする方法は避けてください。
日本の制度では、個人情報保護委員会は、刑事訴訟法に基づく捜査機関の照会への回答は、本人同意を要しない「法令に基づく場合」に当たると説明しています。これは、個人が同じ権限で照会できるという意味ではありません。参考:個人情報保護委員会Q&A・Q7-17。
また、静岡県のガイドラインは、保存期間を必要最小限とし、期間終了後の消去や提供ルールの整備を示しています。全国のカメラが同じ日数保存されるとは限らないため、早めに相談することが大切です。参考:静岡県「防犯カメラの設置及び運用に関するガイドライン」。
AIが示す候補を、本人だと思い込まない
服の色などの条件に合う映像があっても、それだけで本人と決めつけないことが重要です。撮影場所や前後の移動、ほかの特徴などを合わせた確認が必要になります。似た服の人の画像をSNSで広めたり、その人を追いかけたりせず、判断は警察や正当な権限を持つ担当者に委ねましょう。
記事の「7~8分」は、紹介された設備と検索条件での時間です。日本各地で利用できる機能や、発見までの時間を示した数字ではありません。AIを使えば必ず見つかる、という結果の保証にもつながりません。
探偵への相談を考える場合は、警察への届出を優先したうえで、適法にできる聞き込みや情報整理の範囲、費用、報告方法を確認してください。探偵に依頼すれば公的な監視カメラ網へアクセスできるわけではなく、警察の捜索を代替するものでもありません。使える情報と使えない情報を事前に説明してもらうことが、相談先を選ぶ際の大切な確認になります。
映像の検索技術が進んでも、家族が伝える時刻・場所・服装と、映像を適切に扱う手順は欠かせません。急な行方不明はすぐに警察へ連絡し、確認済みの情報を追加していきましょう。下のリンクは警視庁の届出・相談案内です。お住まいの地域でも、警察署に相談してください。
行方不明者の届出・相談案内を見る
