アリバイ

アリバイとは:
犯罪や特定の行為(浮気など)が行われたとされる時間に、自分がその「現場に居合わせなかったこと」を証明する手段や事実のこと。日本語では「現場不在証明」と訳され、自身の無実を裏付けるための最も強力な証拠となる。

アリバイのリアル:ある探偵の記録

「マル対の『アリバイ』は完璧に見えます。しかし、必ずどこかに綻びがあるはずです」

ブリーフィング室で、私は依頼人から提出されたスケジュール表と、夫の言い分のデータを睨みつけていた。今回の依頼は、夫の不倫調査である。夫はきわめて知能犯で、妻が浮気を疑って追及するたびに『その日は京都へ出張していた、これが新幹線の領収書と現地のホテルのチェックイン履歴だ』と、完璧な不在証明を突きつけ、完璧に「アゴばる(全面否認)」の姿勢を崩さなかったという。妻はその言葉を信じるしかなかったが、どうしても女の勘が「嘘だ」と告げていた。

「完璧すぎるアリバイほど、作為的な嘘が隠されている」

それが、私たち探偵が数々の現場を「洗う」中で培ってきた直感だった。新幹線のチケットやホテルの予約など、現代では他人に身代わりを頼むか、あるいは「電調」やデジタル上の記録を巧妙に偽装することで、偽りのアリバイを作り出すことは不可能ではない。私たちは、男の「後足(行動パターン)」に潜むわずかな違和感を見逃さなかった。

次の「出張」の日、私たちの「あいちゃん(行動調査員)」たちが一斉に動いた。夫は確かに東京駅に向かい、新幹線の改札をくぐった。しかし、彼はホームに上がると、あらかじめ手配していた「あいさし(単独犯)」の協力者と接触。切符を交換し、自分は改札を出て、都内の別の場所へと向かったのだ。新幹線に乗って京都へ行ったのは、身代わりの男だった。これが、彼の『完璧なアリバイ』のトリックだった。

私たちは「ルース・テイル」と「クロス・テイル」を駆使して、本物の夫の足取りを執念深く追跡した。彼が向かったのは、京都ではなく、都内の高級マンション。そこは、不倫相手(二対)が待つ、2人の本当の「セーフハウス(隠れ家)」だったのだ。

私たちは2人がマンションから出て、親密に腕を組んでレストランへ向かう瞬間、そして夜に再び部屋へと消えていく決定的な証拠をカメラに収めた。さらに周辺への「側調(側面調査)」を行い、彼らの密会実績の徹底的な「裏どり」を完了させた。

後日、弁護士を交えた面談の場で、夫は相変わらず「私はその日、京都にいた!」とアリバイを主張した。しかし、弁護士が私たちの作成した分厚い調査報告書と、身代わりの男の存在を暴いた映像を突きつけた瞬間、夫の表情は凍りついた。要請事実が完璧に立証され、偽りの不在証明は木端微塵に砕け散った。言い逃れができなくなった男は、がっくりと項垂れ、「アゴとり」に応じるしかなかったのだ。

偽りのアリバイを暴き、真実の1秒を切り取る

浮気や社内不正を働く人間は、自らの身を守るために巧妙な「アリバイ(嘘の不在証明)」を用意することが多々あります。素人の手でその嘘を暴こうとしても、相手の用意した偽りの証拠に言いくるめられてしまうのがオチです。プロの探偵は、「業法」を遵守したクリーンな手法でありながら、相手の裏をかく多角的な調査によって、どんなに精巧に作られたアリバイの罠をも見抜き、ひっくり返します。確固たる「真実の行動記録」こそが、不条理な嘘を打ち砕く唯一の武器となります。