二対(にたい)

二対(にたい)とは:
主たる調査対象者(マル対)が接触する、第二の対象者のこと。主に浮気・不倫調査における「浮気相手・不倫相手」を指す業界用語であり、「第二対象者」を略してこのように呼ばれる。

二対のリアル:ある探偵の記録

「マル対、二対と合流。これよりツーショットの行動監視に切り替えます」

金曜日の午後7時。都内のホテルのラウンジで、私はコーヒーカップに手をかけながらマイクに向かって低く囁いた。私の視線の先には、先ほどまで一人で歩いていた調査対象者(マル対)と、彼を笑顔で迎えた一人の女性が座っている。この女性こそが、今回の不貞調査の鍵を握る人物――「二対(にたい)」だ。

浮気調査において、マル対の行動を追うだけでは任務は半分しか完了しない。不法行為の証拠を完成させるためには、不倫相手である「二対」の存在が不可欠だからだ。彼女が一体どこの誰なのか。名前、住所、勤務先、そして既婚者なのか独身なのか。それらを突き止めること(二対の身元割り出し)も、探偵の重要な役割である。

ラウンジの照明は薄暗く、二人は人目を忍ぶように奥の席で身を寄せ合っている。マル対が女性の髪に優しく触れた。私はバッグの隙間に仕込んだカメラのレンズを、自然な動作で二人へと向ける。まずは二人が「親密な関係」であることを示す、言い逃れのできない決定的なツーショットを収めるのが鉄則だ。もしここで二人がただのビジネスパートナーだと主張しても、この距離感と表情を見れば言い訳は通用しない。

やがて二人は席を立ち、会計を済ませて店を出た。ここから探偵の動きはさらに複雑になる。調査班は、マル対を追う「一班」と、二対の動向に備える「二班」に分かれることが多い。なぜなら、デートの後に二人が別々の方向へ帰る可能性があるからだ。その際、二対を見失ってしまえば、相手の身元を特定するチャンスを逃してしまう。

案の定、駅の改札前で二人は名残惜しそうに抱き合った後、別々の電車へと乗り込んだ。私はマル対の後を相棒に任せ、自分は二対が乗り込んだ車両へと滑り込んだ。彼女がどこの駅で降り、どんな家に帰るのか。彼女の日常の裏側に潜む真実を突き止めるまで、探偵の長い夜は終わらない。

二対の特定こそが、依頼人の未来を守る盾になる

浮気・不倫調査の最終的なゴールは、単に「浮気をしていました」という報告をすることではありません。不倫相手である「二対」に対して慰謝料請求や法的措置を取るためには、その人物の正確な身元(氏名や住所)が絶対に必要になります。探偵が「二対」に向ける鋭い視線は、依頼人が次のステップへ進むための、最も強力な武器を揃えるためのものなのです。