警察署の「生活安全課」の略称。ストーカー被害、DV、家出・行方不明者の捜索、児童虐待、サイバー犯罪など、市民の日常生活の安全を脅かす身近な事件を扱う部署であり、探偵の業務(特に人探しやトラブル対策)と深く関わる。
生安のリアル:ある探偵の記録
「今回の案件、マル対の凶暴性を考えると、あらかじめ『生安(せいあん)』に相談を入れておくべきだな」
デスクの上に並んだ資料を前に、私は相棒と深刻な表情で話し合っていた。今回の依頼は、夫のDV(ドメスティック・バイオレンス)に耐えかねて幼い子供を連れて逃げ出した妻からの、離婚調停に向けた「浮気と暴力の証拠収集」だ。しかし、この夫は執着心が強く、妻の行方を血眼になって探している。私たちが動く現場は、いつ激しいトラブルに発展してもおかしくない危険を孕んでいた。
探偵の仕事において、警察の「生安」という言葉は日常的に飛び交う。なぜなら、私たちが扱うストーカー対策やDV問題、突然いなくなった家族の捜索(人探し)などは、すべて警察の生活安全課の管轄だからだ。私たちは法を執行する警察ではない。だからこそ、超えてはならない一線を厳守し、必要であれば「生安」への橋渡しを行うのがプロの役割である。
「よし、依頼人と一緒に所轄の生安へ行こう」
本調査を始める前に、私は依頼人を連れて最寄りの警察署の生活安全課を訪れた。対応してくれた生安の担当刑事は、防犯ブザーの貸し出しや、夫からの連絡を遮断する法的措置、万が一の際の緊急通報の手順を丁寧に説明してくれた。警察は「事件」が起きるか、明らかな法律違反が証明されないと本格的に動けないことが多い。その『警察が動けない空白の期間』を埋め、具体的な証拠を集めるのが私たち探偵の仕事だ。
数日後、私たちは細心の注意を払いながら夫の行動監視(本調査)を開始した。案の定、夫は妻の実家周辺をうろつき、待ち伏せ行為を働いていた。ストーカー規制法に抵触する明らかな違法行為だ。私はその姿を、時間と場所が明確にわかる形でビデオカメラに収めた。
「証拠は揃った。これで生安もすぐに動ける」
集めた映像データを調査報告書にまとめ、依頼人を通じて生安へ提出する。数日後、警察から夫に対して正式な「警告」が出されたと連絡があった。警察(生安)の公的な強制力と、探偵の隠密な調査力。その両方が噛み合ったとき、初めて被害者を守る鉄壁の盾が完成するのだ。
探偵と「生安」の正しい関係が、依頼人を危機から救う
ストーカーやDV、家族の失踪といった緊急性の高いトラブルにおいて、探偵と警察の「生活安全課(生安)」の連携は極めて重要です。探偵事務所の中には、法を無視して危険な対応を勧める悪質な業者も存在しますが、信頼できるプロの探偵は、常に生安の動向や法律を意識し、警察が迅速に介入できるための「法的価値のある証拠」を安全に集めます。この冷静な判断力こそが、依頼人を真の解決へと導くのです。