本調査(実際の尾行や張り込み)を円滑かつ確実に行うために、事前に現地の環境、地理、対象者の動線などを確認・分析する「下見調査」のこと。事前調査とも呼ばれる。
予備調査のリアル:ある探偵の記録
平日の午前11時。私は、数日後に本番を控えた浮気調査の現場となる、とある郊外の住宅街を歩いていた。手には地図アプリを開いたスマートフォン。しかし私の目は、画面ではなく周囲の「景色」を執拗に追いかけている。これが、調査の勝率を100%に近づけるためのステップ、「予備調査(下見調査)」だ。
「行き当たりばったりの調査に、プロの成功はない」
それが私たちの鉄則だ。本調査の当日に、いきなりぶっつけ本番で尾行や張り込みを始めることは絶対にない。対象者の自宅周辺の道幅はどのくらいか、抜け道はあるか。近くに車を停められるスペースはあるか。近くの駅の改札口は何箇所あり、死角はどこか。これらを事前にすべて把握しておくのが予備調査の目的である。
例えば、対象者の自宅前が「行き止まりの私道」だった場合、そこに立って張り込みをすれば一発で不審者として通報されてしまう。予備調査の段階でそれに気づけば、「少し離れた交差点から望遠レンズで狙う」「偽装用の車両を用意する」といった事前の対策が立てられる。このわずかな準備の差が、本番での「失尾(見失うこと)」や「発覚(バレること)」を防ぐ境界線になるのだ。
私は対象者が毎朝利用するという最寄り駅まで、実際に歩いてみることにした。歩道橋の上からの見通し、街頭防犯カメラの位置、人通りの増減する時間帯。さらに、対象者が勤務するオフィスのビルも訪れ、出入り口の数やエレベーターの配置、周囲の喫煙所の有無までチェックしていく。頭の中で、本番の尾行シミュレーションが何度も繰り返される。
「よし、これならどのルートで動かれても対応できる」
集めた膨大なデータをもとに、機材の選定や人員の配置、当日のフォーメーションを決定する。地味で目立たない作業だが、この予備調査に流した汗の分だけ、本番のカメラに真実が写る確率は高くなるのだ。
予備調査の精度こそが、最高の結果を生み出す
優れた探偵事務所ほど、この「予備調査」を徹底しています。どれほど勘の鋭いベテラン調査員であっても、初めて行く土地で完璧な動きをすることは不可能です。事前に徹底的な下見を行い、あらゆるリスクを排除しておくからこそ、本番の一瞬のチャンスを確実にモノにできる。予備調査は、依頼人の信頼に応えるための「見えない土台」なのです。