反訴(はんそ)

反訴(はんそ)とは:
現在進行中の裁判(訴訟)において、訴えられた側(被告)が、訴えた側(原告)に対して、同じ裁判の手続き内で新たに提起する別の関連した訴えのこと。

反訴のリアル:ある探偵の記録

「相手の女性、慰謝料の棄却を求めるだけでなく、こちらを『反訴(はんそ)』してきました」

弁護士からの電話を受け、私は手元の調査資料をもう一度見直した。事の発端は、依頼人である妻が、夫の不倫相手(二対)に対して起こした慰謝料請求訴訟だった。私たちは本調査によって、不倫相手の自宅(宅割り)を特定し、ラブホテルへの出入りという決定的な不貞の証拠を掴んでいた。言い逃れはできないはずだった。

しかし、相手の弁護士が仕掛けてきたのは、同じ裁判の中でこちらを訴え返すという『反訴』という名の反撃だった。不倫相手側の主張はこうだ。<原告(妻)は、私の自宅や勤務先に押しかけて『泥棒猫』と大声で罵り、近隣に不倫のビラを配った。これにより精神的苦痛を被ったため、名誉毀損による慰謝料300万円を支払え>というものだった。

「攻撃こそ最大の防御、というわけか」

裁判において「反訴」は、被告側がただ防御するだけでなく、原告に経済的・精神的なダメージを与えて相殺(チャラ)に持ち込むために使われる常套手段だ。もしこの反訴が認められてしまえば、夫に浮気をされた被害者である妻が、逆に不倫相手にお金を支払わなければならないという、最悪の不条理が現実になってしまう。

「安心してください。奥様がビラ配りなどしていないことは、私たちが証明できます」

私はすぐに、不倫相手が主張する「ビラが配られたとされる日時」のリカバリー調査を開始した。実は、その期間中も私たちは別件の確認のために彼女の自宅周辺を「張り込み」およびビデオ撮影していたのだ。記録を見返すと、そこにはビラを配る妻の姿などどこにもない。それどころか、不倫相手が自分でビラのようなものを自作し、自らポストに入れている自作自演の疑いがある奇妙な動きまでカメラに収められていた。

私たちはこの「妻の無実を証明する行動データ」と「相手の不審な自作自演の映像」を反証データとして弁護士に提出した。次の口頭弁論の場で、この証拠が突きつけられた瞬間、不倫相手側の弁護士は言葉を失った。形勢逆転を狙った身勝手な「反訴」は、探偵が記録した1分1秒の真実の前で、完全に粉砕されたのだ。

理不尽な「反訴」の煙幕を、確かな事実で撃ち抜く

泥沼化した離婚裁判や慰謝料請求において、相手方が「名誉毀損」や「財産分与の別件」を持ち出して「反訴」を提起してくるケースは少なくありません。相手の目的は、こちらの戦意を喪失させ、裁判を強引に和解へ持ち込むことです。こうした理不尽な反撃に屈しないためには、相手の主張が『嘘』であることを客観的に示す法律上の証拠(反証)が必要です。プロの探偵による徹底した事実の裏付けこそが、相手の危険な反訴を退け、真の勝利を掴むための最大の防衛策となります。