互いに婚姻(結婚)の意思を持ち、共同生活を送るなど夫婦としての実態はあるものの、婚姻届を提出していないために法律上の夫婦として認められない男女の関係。法律上は「事実婚」とも呼ばれ、婚姻に準じる関係として一定の権利や義務が認められる。
内縁のリアル:ある探偵の記録
「籍を入れていないからって、何をしても許されるわけじゃない……!」
相談室で悲痛な声をあげたのは、30代の女性だった。彼女はパートナーの男性と10年間、一つ屋根の下で暮らし、周囲からも夫婦として扱われていた。しかし最近、男性の朝帰りや不審な行動が目立ち始め、別の女性と親密にしていることが発覚。女性が問い詰めると、男性は冷酷に言い放ったという。『俺たちは結婚していない(籍を入れていない)。ただの一緒に住んでいる同居人なんだから、誰と会おうが俺の自由だろ』
「法律は、届出の有無だけで夫婦の絆を裏切ることを許さない」
私は彼女の涙を拭うように語りかけた。一般的には「籍を入れていなければ浮気されても慰謝料は取れない」と思われがちだが、それは大きな間違いだ。法律上、夫婦としての実態がある「内縁(事実婚)」関係であれば、法律婚と同じように「貞操義務」が生じる。つまり、内縁の夫が他の女性と肉体関係を持てば、それは立派な『不貞行為』であり、慰謝料請求の対象になるのだ。
ただし、裁判で戦うためには、乗り越えなければならない高い壁があった。相手側が「ただの同居人だ」と主張してきた場合、まずは私たちが『2人は単なる同居人ではなく、内縁関係(夫婦)であった』という実態(要請事実)を客観的に証明しなければならない。
私たちはすぐに「宅割り」や周辺への「側調(側面調査)」を開始した。近隣住民から「仲の良いご夫婦ですよ」という証言を集め、自治体の住民票で『未届の妻』という記載がなされている裏付けを取る。さらに、親族の結婚式に夫婦として出席していた写真や、家計を一つにしていた銀行口座の記録などの公的な事実を集めて外堀を埋めた。
その上で、私たちは本調査(尾行・張り込み)を敢行。内縁の夫が浮気相手(二対)とラブホテルへ出入りする決定的な瞬間を、言い逃れのできない鮮明な映像としてカメラに収めた。
「これで言い訳はすべて封じました。あなたたちは法律上の夫婦(内縁)であり、彼はその義務を破ったのです」
完成した調査報告書を受け取った彼女は、毅然とした態度で前を向いた。籍という紙切れ1枚がなくても、積み重ねた10年の月日と、探偵が証明した『真実の重み』が、彼女の権利を完璧に守り切った瞬間だった。
内縁関係のトラブルこそ、プロによる「二重の立証」が必要
内縁(事実婚)関係における浮気トラブルは、通常の離婚裁判よりも複雑です。「不倫の証拠」を押さえるだけでなく、その大前提となる「自分たちが夫婦(内縁)関係にあったこと」の双方を立証しなければならないからです。プロの探偵による緻密な素行調査や周辺への聞き込みは、相手の『ただの同居人』という卑劣な言い逃れを完全に粉砕し、法律婚と変わらない正当な権利(慰謝料請求など)を勝ち取るための最も強固な土台となります。